道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。(二宮尊徳)

こんにちは。作野裕樹です。

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。 」

これはご存じの方も多いはず。二宮尊徳さんの名言ですね。

やはり、ビジネスというのは、儲けるだけでは駄目。

人や社会に役立ってこそ成り立つもの。

これは日本人の感覚からすれば誰しも理解できると思います。

 

たとえば、かつて、村上ファンド創業者の村上世彰氏が「お金儲けして何が悪いんですか?」とマスコミの前で発言し、世間から強いバッシングを受けました。

お金儲けは決して悪いことではありません。商売や投資は、経済を回すために大切な行為です。

しかしながら、日本人の慣習からすると、やはり、そこには「道徳ありき」のお金儲けでないと認められない土壌があります。良し悪しは別にして。

もちろん、村上世彰さんが決して道徳なきお金儲けをしたわけではありません。むしろ、日本企業に対し、コーポレートガバナンスの重要性を啓蒙するなど、モノ言う株主として貢献した部分が大きいと思います。

ただ、そういう「印象」を持たれてしまう発言ですら、この日本ではタブーとされていることに留意せねばなりません。

 

そして、二宮尊徳さんの言葉にはもう一つ、大切なメッセージが込められております。

それは「経済なき道徳は寝言である」ということです。

理想や理念は大事。夢やロマンを持つことも大事です。

ただし、そこには「経済」が伴わなければなりません。要するに「お金」です。

お金がなければ理想をかなえることもできません。

 

例えば、戦国時代、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康が天下を取ったことはご存じかと思います。

なぜ天下を取ることができたのか?

戦争が強かったから?想いが立派だったから?

もちろん、それもあります。が、その土台として、「経済力があった」ということは見過ごしてはなりません。彼らは誰よりも「経済観念」が強かったのです。

また、武田信玄は戦国最強と言われるほどの無類の強さを誇っていました。もちろん、「風林火山」の旗を掲げるなど、「孫子の兵法」等の戦略研究に余念がなかったことも一つの理由です。

しかし、強烈な強さの背景に「黒山金山」など、豊富な「金」を採掘していたことを見逃してはなりません。

 

つまり、夢や理想を現実化するためには、「金勘定」は必須ということです。

ここに面白い言葉があります。

日本マクドナルド創始者の故・藤田田氏の名言です。

「わたしは、簿記というのは経営計数学なのであって、会社経営していくためには絶対必要なものだ」
(『勝てば官軍(藤田田著、KKベストセラーズ)』より引用)


日本にマクドナルドを持ち込んだ伝説の経営者である藤田田氏。

藤田田氏は、会社経営でしっかり儲けるには「簿記の知識は必須」と言っています。実際に、マクドナルドの幹部は「簿記3級取得」は必須とのことです。

例えば、「減価償却」や「キャッシュフロー」などの意味もわからずにビジネスは成り立ちません。

実際、私も経営コンサルティングをしていく中で、「簿記の知識」を持ち合わせていない経営者に何人もお会いしたことがあります。そういう社長さんは、経営数字が読めないため、どこかで必ず躓くのです。だから、社長さんには「絶対に簿記3級は取ってください」と言っています。

創伝塾でも塾生には「ビジネスやるなら簿記3級は取得しましょう」と推奨し続けてきています。

簿記の知識は、いわゆる、資本主義という「道路」を走るための「仮免許証」のようなものです。

 

二宮尊徳さんは「道徳なき経済は罪悪である。経済なき道徳は寝言」と言いました。

ただお金を儲けるだけではNG。お金儲けは社会や人の役に立つことを前提にしたもの出なければなりません。

それと、道徳や理想だけでもNG。資本主義社会でしっかりと成果を出し、夢や理想を実現させていくためにも、経営数字を読み解く力を高めていくことは大切です。