大手や強者がやれないことをやる。(『闘戦経(第三十章)』)

こんにちは。作野です。

日本最古の兵法書『闘戦経』の第三十章にこう書いてある。

小虫の毒有るは天の性か。小勢を以て大敵を討つ者も亦た然るか。
(『闘戦経』第三十章より引用)

意訳すると、「小さき者でも毒を持って戦えば大敵をも倒すことが可能となる」ということ。スズメバチの毒などがそう。大きな獣でもやっつけることがある。

これを現代経営に当てはめてみよう。

まず、相手が大手企業や強者であっても決して諦めてはいけない。

どんな相手でも必ず弱点や隙があったりする。それを見極めて突くことで勝つことがある。

 

また、こちらが弱者で持たざる者だとしても、場合によってはそれが「強みになる」こともある。

例えば、大手企業はたくさんの従業員を抱えている。

だからこそ、大きなマーケットでしか戦うことができない。小さなマーケットでは採算が合わないからだ。

しかし、小さな会社は少数の顧客でも十分採算が合うことがある。

大きな企業が取りこぼしたお客さん、相手にできないニッチなニーズを満たすことで、それなりに儲けることができたりするのである。

 

例えば、守秘義務があるので、正確な社名や業界はぼかさせていただくが、弊社のクライアントさんで大手企業が取りこぼした小さなマーケットでうまくいっているベンチャー企業がある。

その会社は、大企業が人気書籍や漫画の中古買取をしているのに対し、「マニアックな専門書」のみを取り扱っているのである。お客さんの数は少ないが、粗利は大きい。だから、それなりにその企業は儲け続けることができているのである。市場が小さいので今後も大手企業が参入してくることは考えられない。

 

また、大手企業は一人ひとりに対して、きめ細かな対応は現実的に難しい。

ところが、小さな企業は一人ひとりのお客さんに対して、接近戦できめ細やかな対応ができる。これを武器とする。

例えば、町の小さな電気屋さんなどがそう。大手家電店であれば、きめ細かく商品説明や使い方までサポートはしてくれない。商品数が多く、相手にするお客さんも多いので当然である。

ところが、うまくいっている町の小さな電気屋さんは、近所のおじいちゃんおばあちゃんなどにきめ細やかなサポートをしている。例えば、聞くところによると「電球一個」でも喜んで取り付けに行くそうだ。

そして、おじいちゃんおばあちゃんの要望を聞いている間に、案外、ほかの家電も売れてしまったりするのである。

 

これも大手にはできない、小さき者だからこそできる強みである。闘戦経でいえば「毒」を以て、大敵を制するということ。

小さいからと言って、簡単に諦めてはならない。

大手や強者だからこそ持っている弱みや隙があったりする。弱者はそこを突いていけば、それなりに勝負になることもある。