「過は不敬に生ず。
よく敬すれば則ち過自ずからすくなし、もしあるいは過たば則ち宜しく速やかに之を改むべし。
速やかに之を改むるもまた敬なり。
顔子の過をふたたびせざる、子路の過を聞くを喜ぶがごときは、敬に非ざるをなきなり。」
これは佐藤一斎『言志四録』の言志後録第一七条に書かれた言葉である。
意訳すると、過失というのは不敬、つまり慎みのなさから生じるということ。
慎んでいればおのずと過失は少なくなる。そして、もし過失があった場合は、すみやかに改めること。
経営顧問業をやっている都合上、経営相談を受ける機会があるが、面白いもので、うまくいく経営者ほどちょうどよいタイミングで相談に来られる。
例えば、昨年であれば、何人かのクライアントから「仮想通貨はどう思いますか?」と相談があった。私は「投資のセオリーで考えるなら、あれは投機であって投資ではありません。本当の投資とは買った瞬間からプラスのキャッシュフローを生むものです。買って持ち続けるだけでは本物の投資家とは言えません。」とお伝えした。
続けて「税制上のデメリットも多数あります。それは損失があっても損益通算(損失と利益の合算など)ができないし、損失の繰り越しもできないのです。利益が出ても雑所得になり、既存の年収にオンされ、累進課税が適用。よって、支払う税金は増えるでしょう。もし、仮にやるとしても法人でやることだけは忘れないでください。そうすれば損益通算もできるし、損失の繰越も9年可能です。」とお伝えした。
賢いクライアントさんはそれで悟り、一切、仮想通貨には手を出しなかった。その後の暴落はご察しの通り。
まさに、うまくいく経営者ほど佐藤一斎の説く「敬」を持っている。