人に優劣をつけると人生不幸になってしまいます。
なぜなら、「優」を取り続けなければならないからです。
しかし、自然が生んだものに無駄なものが一つでもあるでしょうか。自然が生んだものは皆理由があり、それぞれが役割を担っているのです。
だから、優劣などありません。
佐藤一斎『言志四録』の言志録第九十五条に
「耳・目・口・鼻・四肢・百骸、各々その職を守りてもって心に聴く。これ地の天に順うなり。」
とあります。
訳文は「耳、目、口、鼻、手足、その他身体の各部分は、各々がその職務を守って心の支配を受けている。これは地が天に従うのと同じ道理である。」と。
要するに、身体の各部分はそれぞれの役目があり、それぞれがその役目を果たことで、天地の原理からうまくいくということです。
これは経営でも同じ。経営者はとかく優秀な人材を取ろうと考えたがります。また優劣をつけたがる節があるのです。時に「なぜうちの社員はできないのだ」と口をこぼします。
しかし、これは天地の原理からいえばおかしなことです。それぞれに役割があるはずなのですから。優劣を勝手に判断した経営者がおかしいわけです。
スポーツで例えてみましょう。得点を取ることだけが優秀なのでしょうか?守ることやパスワークが上手な人はどうでしょうか?みんながみんな得点を取りたがったらチームスポーツは成り立たないのではないでしょうか?
野球ではピッチャーも大事だし、キャッチャーも大事です。サッカーではフォワードも必要だし、ディフェンダーも必要です。もっといえば、監督やスコアラー、観客、サポーターなど、すべてに役割があります。どれが欠けても試合はうまくいきません。
優劣などないのです。あるのは優劣を勝手に判断する経営者だけです。
もしも「目と耳と鼻と口で、どれが優秀か?」と聴く人がいたらどうでしょうか?きっとおかしな人だと笑うでしょう。