鷦鷯深林に巣くうも一枝に過ぎず。

鷦鷯深林に巣くうも一枝に過ぎず

(荘子「逍遥遊より引用」)

鷦鷯深林(みさそざい)という鳥は、林に巣を作る際、たった1本の枝だけで作るとのこと。

意訳すると、豪華な家などでなく、質素な家で満足した方がいいという「足るを知れ」を表現したものである。

しかし、私はもう少し違った解釈をしたい。

それは、本当に強くて、美しくて、使える家というものは、シンプルに枝一つから作られるということ。

ここは家でなく、道具や商品、ビジネスや会社と置き換えると現代人により身近に感じられるだろう。

例えば、会社経営をしていて、良い商品を作ろうとした場合、あれもこれも機能を付加しがち。

一昔前の日本のガラケーがそうだろう。

ところが、不要な機能を取り除き、使える機能を厳選し、シンプルにして成功したのが、故スティーブジョブズが率いるアップル社のiPhoneだった。

これは商品だけではなく「会社」でもそうだ。

あれこれ様々な事業に手を出すよりは、「これだけはどこにも負けない」という一点に絞った会社の方が儲かりやすい。創業時は特にそうである。

会社経営でしっかり儲けたいなら「何でも屋」になってはいけない。

荘子いわく、本当に強くて長持ちする家をつくるには「一枝」で十分なのである。