「秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。」(風姿花伝)

「秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず。」

(『風姿花伝(世阿弥)』より引用)

これは、室町時代に活躍した伝説の能楽師「世阿弥」の言葉。

どういう意味か?

大事な秘中の秘は、観客には絶対に見せてはいけない、教えてはいけないということ。

例えば、手品の種明かしがまさにそうでしょう。

手品というのは、種がわからないから、面白いし、何度味わっても飽きないのです。

 

ところが、「この手品の種は〇〇です」と明かされたらどうでしょう?

その瞬間は「なるほど!」と面白いかもしれません。が、もうその手品は二度と見ようとは思わないでしょう。

これと同じで、経営でも「秘中の秘」は絶対お客様に見せてはいけません。

いえ、社内でも場合によっては「秘する」必要さえあります。

儲かり続ける経営者ほど、実はそれを意識的か無意識的かはわかりませんが、必ずやっています。

 

しかし、センスのない経営者は逆のことをやります。

例えば、「うちはお客満足度100%です!」と言ったとしましょう。

これはセオリーでいえば「秘する」からこそ意味があるのです。

お客満足度100%と知って、お客さんが来店したり商品を購入したらどうでしょうか?

最初から期待値が高まっていますよね?

だから、ものすごいサービスをしたとしても、驚くこともありません。

 

ところが、センスのいい会社は違います。

お客満足度のことを「秘する」のです。

そうすると、お客さんの期待値を上回り、驚き、満足度が上がるのです。

大事な「秘」の部分は「秘する」ことがセオリーです。