社長が何もしなくても伸びるのが良い会社。(貞観政要)

先月、私が主催する「若手経営者のための教養塾」である創伝塾で『貞観政要』をテーマに取り上げました。

貞観政要とは中国「唐」王朝が約300年続いた礎となる政治の知恵。リーダーの教養書です。日本では徳川家康や北条政子、明治天皇などがそれに学んだと言われています。

まさに経営者のためのマネジメントの知恵の宝庫。

 

その一説に次のようなものがあります。

君主は何もしなくても、遊行の楽しみを尽くすことができ、仙人のような長寿を保つこともでき、琴をひき鳴らすことができます。そして、何もせず、何もいわずとも世の中が自然に治まります。
(『貞観政要』巻第一 君道第一 第四章)

要するに、君主は何もしなくても、遊んでいても、国が収まっているのが良い状態であるということ。

さらに紐解くと、これは人材の「適材適所がうまくいっている」ということでもあります。どのような能力が必要かを見極め、その能力を発揮できる人材を適切に配置する。これができれば、否が応でも組織は伸びるわけです。

これはまさしく経営でも当てはまります。商品開発、営業、マーケティング、採用、経理、広報など。適切なポジションに適切な人材を配置すれば、会社が伸びていくのは火を見るよりも明らかです。

 

だからといって、経営者は何もしなくてもよいか?というとそんなことはありません。

「戦略の絵を描く」という大切な仕事があるのです。

経営者ならではの仕事になります。

大切なことは、本来リーダーであり、戦略の絵を描くべき社長が、他のポジションの仕事を奪ってはいけないということ。

 

例えば、社長が営業マンに代わって営業をしていたらどうなるか?確かに社長が営業をすれば契約が決まるかもしれません。

しかしながら、社長が営業をしていることで、営業マンの仕事を奪っているとも考えられます。営業マンの「成長の機会」や「顧客からの感謝される機会」を奪っているかもしれないのです。

部下の仕事ややりがいを奪うことが経営者の仕事ではない。経営者の仕事はいわゆる場づくり。部下や従業員たちが力を発揮しやすい土壌を整えてあげることです。

 

経営者はジャズでも聴きながら夜な夜なウィスキーグラスを片手に未来のビジョンを考える。そのような余裕が必須になります。リーダーの仕事の本分を決して忘れてはなりません。

今回のオススメ参考図書

座右の書「貞観政要」中国古典に学ぶ世界最高のリーダー論(出口治明著、KADOKAWA)』