文詞は以て其の人と為りを見る可し。
いわんやまた後に留貽(りゅうい)するをや。
よろしく修辞立誠を以て眼目と為すべし。
これは佐藤一斎『言志四録』の言志晩録第五二条に書かれた言葉である。
意訳すると、文章には人柄が出る。しかも後世に残るものだから誠をもって言葉を有効活用すべしであるということ。
最近、SNSやブログなど、情報発信しやすい環境が日に日に進歩している。誰もが容易に自分の意見を述べやすい環境になってきた。
だからこそ、文章の発信には気をつけねばならない。それが元で足元をすくわれてしまうこともある。経営者は特に留意すべきだ。
私が常々言っているのは、「道具」と「知性」の関係性。それは以下の通り。
- 高い知性 × 良い道具
- 低い知性 × 良い道具
- 高い知性 × 悪い道具
- 低い知性 × 悪い道具
道具とは昨今ではSNSやブログ、メルマガなど。
さて、最も良いケースはどれだろうか?
当然ながら1である。良い道具を持って高い知性があれば、良い情報を世の中に送り届けることができるからだ。
しかし、3のように、高い知性があっても道具が悪ければ、良い情報を世の中に送り届けることはできない。
では、最も悪いケースはどれであろうか?
実は2のケースである。「低い知性」でもって「良い道具」のケースが最も危険度が高いのだ。
なぜか?4のように低い知性でも悪い道具であれば広まることはない。
が、低い知性で良い道具であればあっという間に広がってしまうので恐ろしいことである。SNSでの失言で炎上や拡散してしまうのもまさにこのケース。
現代社会はSNSなどの道具が日進月歩で進化している。つぶやき一つで株価が乱高下することもある時代。経営者は佐藤一斎の言うように情報発信には十分に気を付けるべきである。