新規事業は己を頼るべし。

「士は独立自信を貴ぶ。熱により炎につくの念起こすべからず。」

これは佐藤一斎『言志四録』の言志録第一二一条に書かれている言葉である。

現代語に訳すと以下の通り。

「立派な人は他人に頼らず自信を持って行動することを尊重する。権力者や金持ちにこびてはならない。」

これは商売人や起業家にとって非常に含蓄のある言葉。

例えば、新規事業立ち上げ時や独立起業時に、「営業」や「広告」を他人に任せる人がいるがこれは決してお勧めしない。

なぜか?

新しい商品やサービスをリリースして即うまくいくことはまずない。商品の説明をしてもまず相手は聞いてくれない。「実績を見せて」とか「数字のシミュレーションを見せろ」などと言われたりする。結果として、プレゼン資料や営業トークなどが洗練されていく。

そして、ようやくお買い求め頂いても、今度はお客様や利用者からありがたいクレームが来る。「こうしてほしい」「ああしてほしい」など、開発時には思いもよらない発案がなされたりする。結果として、お客さんや時代に合った商品やサービスに洗練されていく。

新規事業というものはこれらの「フィードバック」を得て、改善に改善を繰り返してようやく形になっていくもの。この大切な「産み」の時期を外部などに依頼しては決してならない。

「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、新規事業でもまったく同じなのだ。この大切な時期は社長自らで育む覚悟が必要である。

新規事業立ち上げ時は「自ら切り開く」といった独立自尊の精神が肝要だ。