最低最悪を想定する。

昔、元読売ジャイアンツの桑田真澄投手の本を読んだことがある。

尊敬する投手の一人だ。

桑田さんの考え方はビジネスや投資におおいに参考になる。

それで、興味深かったのは試合に臨む際のイメージトレーニング。

ふつうは良いピッチングをイメージしそうである。

ところが桑田さんは違った。

最低最悪のところをイメージするのだそうだ。

例えば、ピッチャーであれば、1回からフォアボール出しまくって、ノーアウト満塁のピンチになってしまうなど。

そうするとどうなるか?

まず、実際の試合になった時に、「それ以上」のピンチが起こりにくいので、おおよそのピンチに冷静に対応できるようになる。

ピンチを招いても「ああ、こんなものか」と客観視できるようになるのだ。

もしも、良いイメージで臨んでしまうと、少しでもピンチが起きると「こんなはずではなかった」と動揺してしまう可能性が高い。

だから、最低最悪のところをイメージして試合に臨む、というようなことが書かれていた。うろ覚えではあるが、本質はそんなところだろう。

希望を持つと、それを失った時の落胆が計り知れない。

これは経営でも投資でも応用が利く。もちろん、人生においてもね。

ただ、経験上、もどかしいのは「周囲」とその危機感の温度差が出てしまうこと。

こちらが最低最悪の大ピンチを想定しているのに、周囲は楽観視してなかなかそれに気づかない。

これはもどかしい。悶々とする。

時に「アイツ、悲観的すぎないか?」とか、下手すると「頭イカれたんじゃないか?」と蔑視されてしまうことすらある。

まあしかたない。世の中そんなものである。

経営者や投資家はパラノイアぐらいでちょうどいいと思うねえ。