孫子の兵法の第十一項(第三章謀攻篇)に「故に用兵の法は、十なれば則ち之れを囲み、五なれば則ち之れを攻め、倍すれば則ち之れを分かち、敵すれば則ち能く之れと戦い、少なければ則ち能く之れを逃れ、しかざれば則ち能く之れを避く。故に小敵の堅なるは、大敵のとりこなり。」とある。
意訳すると、戦う場合に相手より兵力10倍あれば囲み、5倍であれば正面攻撃し、2倍であれば敵を分断して攻め、同数であれば必死になって戦う。相手より少ない場合は逃げること。
要するに兵力差に応じて戦い方を柔軟に変えよということ。
これは経営にも当てはまる。私は経営相談を受けることがあるが、「自社」のことばかりしか目がいかず、競争相手にめがいかない経営者は多い。
その場合「これがやりたい」「あれがやりたい」と一方的な想いばかりをしゃべる。
例えば、本業とは別に「不動産投資をやって安定収入を得たい」といった相談など。これは「自分基準」でしか物事を考えていない典型的な例である。
不動産投は歴史のあるビジネスの一つだ。だから、長い間、君臨している競合も多い。しのぎを削って、歴戦を戦い抜いてきた猛者もいる。
そういった猛者は、すでに強い信頼関係を築いている不動産会社や施工会社、リフォーム会社、賃貸仲介業者などがいる。
そのような中に新参者がなんのツテもなく参入して容易に勝てるだろうか。答えは否。簡単には勝てない。
明らかに「兵力差」があるわけだから、最初から戦ってはいけない。戦っていいのは兵力差が圧倒的に多い時だけである。